A子ちゃんのがん発症は25歳だった。5月19日7年半に及ぶ闘病生活は静かに幕を下ろした。彼女に初めて会ったのは約5年半位前。
インターネットで知り合ったがん仲間だった。意気投合したがん友のお誘いにのって東北に遊びに行った。こちらからは、同じがん友の二人。現地のA子ちゃんとがん友、関西から一人加わり5人のミニオフ会が盛大に開かれた。
八戸の新鮮な
いかを私達に提供してくれたA子ちゃん。食べて・飲んで・皆で温泉に入って、そして28歳の彼女は踊った。自分で作ったチロリアンの衣装を着て、軽やかに にこやかに 畳のステージでワンマンショーが繰り広げられた。
目がクリッとした色白で、がん仲間からも人気の的だった。全国オフ会ではその美貌と知性とその踊りでみんなを魅了した。
私は、そういった大勢が集まるところは苦手なので参加しなかったが、メーリングリストの参加者の投稿で、彼女の存在がいかにひときわ輝いていたか想像できた。
翌日は、現地の友達が観光案内をしてくれる計画だったが、A子ちゃんはその日、誕生日ということで彼とのデートを楽しんだ。彼女は幸せに満ちていた。
その後、彼女が福岡に旅行に行くというので、私もついていった。別の友達も合流し、がん友のご家庭にお邪魔した。彼女は着物を着て何をどう思ったのか、がん友のご主人の前で立ち尽くした。時間が一瞬止まり言葉を失った。
でも、すぐに我々は意気投合し、訪問宅のがん友が作ってくれた自然食の美味しいお料理に舌鼓を打った。
ある日、『私結婚します。』というメールがA子ちゃんから入って私を喜ばせた。A子ちゃんと同郷のがん友にそのことを伝えると、彼女もまた大喜びをし、『おめでとう』のメールを送った。
しばらくして彼が転勤になった。A子ちゃんは、彼の後を追い公務員を辞めた。彼と彼女は、大学のサークルで知り合ったという。彼の転勤地で同居生活が始まった。しかし、ついに入籍することはなかった。
昨年、転移が判明し、彼女は実家に戻った。彼の前から去った彼女は、それが精一杯の愛情表現だったと私は思っている。
以前ある男性に聞いたことがある。『結婚を約束していた彼女がもしがんに侵された場合、あなたならどうしますか?』・・と、するとその男性は、『僕の性格からして相手に破談を叩きつけることは出来ない。でも、本音を言えば彼女の方から身を引いて欲しいと思う。』っという反応だった。
私は、男性と女性の違いをその時感じた。朝日新聞社の記者、上野 創さんは、精巣がんを患った。彼女に迷惑を掛けたくないと思った彼は、別れを告げた。
すると彼女は、『結婚しましょう。』と。揺るぎない態度に彼は感動した・・とご本人の講演会で伺ったことがある。
この事例がすべてではないにしても、何処にも正解はないにしても、立場が逆だったらとイマジネーションを働かせることが出来るのは、案外男性よりも女性の方が豊かなのかも知れない。
ずっと・ずっと結婚を夢見ていた32歳の彼女は、きっと天国で今頃ウェディングドレスを着ていることでしょう。天使達の祝福の賛美に包まれながら・・・。
そしてA子ちゃんは安らかに永久の眠りについたのかもしれない。ご遺族の上に豊かなお慰めがありますように。
- 2008/05/21(水) 23:27:31|
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