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がん患者がすがる「免疫療法」、医師同士は競合を詐欺師扱い!NEWSポストセブン

がん患者がすがる「免疫療法」、
               医師同士は競合を詐欺師扱い

NEWSポストセブン2017年08月30日07時00分

がん患者がすがる「免疫療法」、医師同士は競合を詐欺師扱い

「末期がんが消えた!」「先進的」──命の危機に瀕した進行がん患者にとって、そうした謳い文句で宣伝される「がん免疫療法」は“最後の希望”に映る。

だが、高額な治療費を払う患者たちに、「有効性が立証されていない」ことが、正確に伝わっているのか。無料説明会への潜入、実際に治療を受けた患者の声からは、モラルなき実態も浮かび上がる。ジャーナリスト・岩澤倫彦氏がレポートする。

 * * *
 東京・六本木の高層ビル。免疫療法の説明会が行われるフロアにエレベーターが着くと、コンシェルジュの女性が待っていた。

フロアには高級ホテル然としたプレミアムな雰囲気が漂う。説明会の講師は、国立大学の先端免疫治療学寄附講座の特任教授。約10人の患者と家族を前に、治療画像を見せながら夢と希望に溢れたエピソードを紹介する。

「この肝臓がんは、樹状細胞ワクチン(=免疫療法)で壊死して黒くなりました。この肺がん患者は、ありとあらゆる抗がん剤をやって効かなかったので、樹状細胞ワクチンを併用したら、きゅーっと、がんが小さくなったと。こういうことが、割と珍しくないのです」

 患者たちは身を乗り出してスライド画像を見つめる。説明会の終わり、特任教授は意外なことを口にした。

「“彼ら”は、うまいこと宣伝をやるんで、私は詐欺師と呼んでいます。“彼ら”は、効果が出たという画像すら偽造しますからね」

 詐欺師と揶揄された“彼ら”とは、他の免疫クリニックのこと。だが、後に別のクリニックの説明会でも全く同じセリフを聞いた。

互いが互いを詐欺師と罵る異様さがある。説明会後、半数の患者が外来の予約をしていた。この免疫療法を受けるつもりらしい。費用は1クール(約3か月)200万〜300万円。これを何クールも続ける患者も多い。

 ちなみに寄附講座は企業や団体によって経費が賄われる講座。その特任教授とは、民間企業などの資金で確保されるポストともいえる。調べてみると、特任教授は医師免許を持たない歯科医だった──。

“早期発見すれば、がんは治る時代”といわれるが、今も日本人の死亡率1位。罹患率は5割だから、誰もが直面しうる病気だ。

最も進行したステージ4では、抗がん剤治療が中心となるが、強い副作用や耐性が出て効かなくなってしまうことも多い。

 追いこまれた患者の選択肢として浮上するのが、『免疫療法』だ。手術、放射線、抗がん剤の3大療法に次ぐ“第4のがん治療”ともいわれている。

『活性化リンパ球』『樹状細胞』『ペプチド』『がんワクチン』など、従来からある、“免疫細胞療法”(=以下、免疫療法)は、自由診療のみ。そのため多額の治療費がかかる。

 免疫療法の基本的な手順は、まず患者の血液を採取する。そこからリンパ球の細胞を培養し、増やしたり、活性化させる。または、がん細胞の目印を覚えさせる。これらを一定間隔で患者の体内に戻して、がん細胞を殺すという。

 なぜ、免疫療法は保険適用にならないのか? 免疫クリニックに疑問を投げかけると──。

「国民皆保険制度ができた1961年当時、まだ免疫療法が無かったので、審査対象にならなかった」

この説明は明らかにおかしい。臨床試験で有効性が立証された新しい治療法や新薬は、随時保険適用になっている。免疫療法が保険適用にならない理由──それは有効性が立証できていないことに尽きるのだ。

 そうした治療法が、なぜこれほどまでに普及しているのだろうか? がん患者会シャロームの代表・植村めぐみさんは、患者たちの切実な心理状況が影響していると話す。

「親友の女性はスキルス胃がんで、余命1年と告げられて免疫クリニックに通っていました。毎月80万円、10か月で800万円もかけて、効果は全くないまま亡くなりました。もう治らないと余命を宣告されると、誰でも冷静さを失って、免疫療法に傾いてしまう可能性があります」

◆「がんは待ってくれない」

 日曜日の昼下がり、東京・三鷹駅にほど近いビルの7階で、免疫療法の説明会が始まった。

「免疫療法に、反対する医者がいます。皆さんの主治医がそうなら、黙って来ればいいんです! 先延ばしして、いいことなんてありません。抗がん剤でNK(ナチュラルキラー)細胞が、やられちゃうので、抗がん剤入れる前に培養させてほしい。私からは一言だけ、がんは待ってくれない」

 早口でまくし立て、患者に同意を要求する講師。今すぐに免疫療法を開始しなければ手遅れになる気になってくる。

 この免疫療法は1クール(約3か月)で400万円を一括前払いする。2クール、3クールと続けていくと、老後の預貯金などあっという間に消えてしまう。これで命が助かるなら、出費も仕方ないかもしれないが、現実は厳しい。

 2年前の9月、悪性リンパ腫という、血液のがんが判明した80代男性Aさん(関西在住)。喉と睾丸にも転移、ステージ4だった。

抗がん剤治療の副作用で食事ができず、強い痛みも出てきたため、見かねた息子が免疫療法を調べて、無料説明会に参加した。

「“免疫細胞にがんを記憶させて攻撃する。お父さんと同じがんだった私の伯母が、見事に治りました”と、クリニックの院長が画像を見せながら話してくれました」(Aさんの息子)

 100万円超の費用を先払いして、昨年10月に免疫細胞療法が始まった。がんが転移した喉の部分に、免疫細胞を直接注射しながら、院長はこう言った。

「国からこの資格を得ているのは私だけ。唯一の治療を受けているんやで」

 むろん、国が一人の医師だけに治療資格を与えるなど、あり得ない。免疫細胞の注射は4回打たれたが、約3cmだった喉のがんは10cm以上に増大。声も出せなくなった。

去年12月、Aさんは自宅のベッドで息を引き取った。免疫療法を選んだ理由を、息子は振り返る。

「iPSや再生医療の時代だから、免疫療法に期待してしまった。今になって冷静に振り返れば、治る治ると思い込まされていたのでしょう」

 免疫細胞療法の一部は“先進医療”に指定されている。これは例外的に混合診療を認めて臨床試験を実施、保険適用を目指す制度。裏を返すと、現時点で有効性が立証されていない“実験的医療”だ。

 培養した免疫細胞がどの程度の期間、機能しているのか。それを科学的に調べた研究者が理化学研究所・特別顧問の谷口克氏だ。

「培養した免疫細胞の生体内寿命は2〜3日、長くて1週間。ただし、がん細胞に出会って刺激を受けると、24時間以内に死滅します。また培養免疫細胞を静脈投与した場合、肝臓に集積し、がん組織に届きません」

 国立がん研究センター・前理事長の堀田知光氏は、筆者のインタビューに応じ、民間の免疫療法を厳しく批判した。

「正直に申し上げると、胡散臭いという印象。結果が良いというけれど、科学的な根拠を示していない。

 有効性と安全性が検証されていない、再現性もない免疫療法が“商売”として行われているのは問題ですよ。私は今の“古典的免疫療法”に大きな期待はしていません」

 説明会に参加する患者や家族には聞かされない、これが本当の専門家の見地だ。

※週刊ポスト2017年9月8日号

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