2017_10
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(Wed)20:53

会員さんの取材記事と、がん患者会シャローム代表のコメント記事:毎日新聞掲載!

食べて寝るだけで貴い

 「がんの告知」は人生の一大事だ。さらに「再発・転移」の告知となれば、患者に与える衝撃は計り知れない。

いったん再発・転移した「ステージ4」のがんは、完治が難しいとされ、「死」を意識せざるをえないからだ。ゴールが見えない治療と同時に、揺れる気持ちとつきあう日々が続く。

 ●一人だと暗闇に

 埼玉県の主婦、田口直美さん(63、仮名)は昨年4月、肺がんの告知を受けた。リンパ節と脳に転移があり、すでに「ステージ4」。聞いた途端に冷や汗が出て、貧血を起こした。

 「もう何年も生きられない」。その瞬間から苦悩の日々が始まった。スーパーに行けば、他の客が皆、幸せそうに見える。

「あの人たちは元気なのに、なぜ私は」。自宅にこもる日が続いた。ソファに座って窓の外に目をやると、見慣れたはずの風景がまるで違って見える。緑が濃いはずの木の葉に、色が感じられなくなっていた。

泣くこともできなかった。家族にも誰にも苦しみを話せない。ようやく泣けたのは、精神腫瘍科の門をたたき、カウンセリングで積もる思いをはき出した時だった。
 
 気持ちの整理はある程度できたが、一人でいると同じことを考え、暗闇に迷い込んでしまう。「苦しんでいるのは私だけ?」

インターネットで手当たり次第に闘病ブログを見る中、とある患者会に行き当たった。入会し、再発・転移患者の集いで仲間と語り合うことで、直美さんはようやく精神的な励みが得られるようになった。

 ●患者会に励まされ

 告知から1年半が過ぎた。新たな脳転移でガンマナイフ(放射線治療の一種)を受けるなど、厳しい治療は続く。

この間、夫(70)は帯状ほうしんを患った。「夫はもちろん、娘(38)や息子(34)もそれぞれつらかったはず」。

それでも「今は精神的に落ち着いて、家族の関係もほぼ元通りになりました」。以前は教室を開くほどの腕前だったアクセサリー作りも、そろそろ再開しようかと思っている。
 
 最近、直美さんが心の中で唱えるフレーズがある。「食べて、飲んで、吸って、吐いて、出して、寝る」。所属する「がん患者会シャローム」(埼玉県杉戸町)の集まりで、代表の植村めぐみさん(66)が口にした言葉だ。

その真意を植村さんは話す。
 「『一日一日を大事に積み重ねる』と言いますが、それ自体がつらいと感じる患者は多い。

でも、食べて寝て、というたったそれだけで貴いのです。目標なんて持たなくても、無理に前向きになんてならなくてもいい。そう伝えたい」

自分を責めないで
 
 「がんの告知」で傷を受けた患者が、まず手を差し伸べてほしいのは、目の前にいる医師だろう。だが中には、その医師によって、より深い暗闇に突き落とされる患者もいる。

 兵庫県の主婦、稲垣久子さん(48、仮名)は2009年5月、乳がんを告知された。その時、医師は「こんなに進行して来た患者は初めて」と、乱暴な言葉を放った。

久子さんは、母をはじめ血縁に乳がん経験者が多く、その1年半前にも人間ドックを受診していた。

 「あなたのがんは10年もの。今まで分からなかったのか」。診察のたびに、傷口を広げるような言葉を重ねた医師は、大学病院の教授などの要職を務めてきた人物だった。

久子さんは、当時リンパ節に転移があるステージ3だったが、「遅かれ早かれ他臓器に転移する」とまで言われ、耐えきれずに地元のがんセンターに転院した。

 「告知からずっと苦しかった」と久子さん。新たな主治医に「自分を責めずにがんばろう」と励まされ、その日から抗がん剤治療が始まった。

同年11月に左胸を全摘。しかし3年後、「そろそろ胸の再建を」と思っていたところ、肝臓への転移が分かる。今度は「再発転移」の文字が久子さんの胸を突き刺した。

 ●気持ちを詩に込め

 「この追撃からは 逃げることができない もう二度と」。つらい日々、久子さんは、入院中も自宅でも枕元にノートを置き、あふれる気持ちを詩にしたためた。

気づくと膨大な量になり、一部を印刷してまとめ、身近な人に読んでもらっている。「文字を形にすることで、『生きている』と実感できます」

 今年6月には胸椎(きょうつい)への転移が分かった。抗がん剤治療で、手のふるえや吐き気などの副作用にも悩まされる。

朝、家族を送り出した後、前触れなく暗い穴に落ちたようになることも。大粒の涙が流れるが、ぬぐうこともせずに思いきり泣く。その後は心が少し軽くなり、家事に戻る。そんな毎日だ。
 
 「子どもが大きくなったことが救い」と久子さん。がんを告知された時、長男は高校1年、長女はまだ小学5年だった。この間、いつ何が起こるか分からないと、子どもの成長に合わせた手紙も書き残してきた。

大学生になった娘とは、「お葬式の時に菊の花はやめて」などと冗談交じりに話せるようになった。

 夫(51)は若い時に母親をがんで亡くし、かねて久子さんには「自分を見送って」と言っていた。今は「ぼくのために一日でも長く生きて」と全力で支えてくれる。「感謝しかありません。今は家族のために生きています」

 「決して満足のいく人生ではないけど、納得して自分らしく『今』を生きられれば」。1カ月先のことは「怖くて予定できない」が、それでも「半歩先には光が見える」と久子さんは穏やかに話す。

「手のとどくその先を探れるうちは あるがままのわたしで」【三輪晴美】=随時掲載


がん患者の心のケア

 がんを告知され、適応障害やうつ病を発症する患者は多く、その場合は治療が必要だ。がん患者やその家族の心のケアを専門とするのは「精神腫瘍科」だが、がん診療連携拠点病院でも開設していない場合がある。

 がん患者の悩みや苦しみを軽くするには、患者同士で語り合うことも有効だ。がん患者が集う場には、各種患者会や病院内の「サロン」がある。

また、がん体験者が、がん患者の不安や悩みを聞く「ピアサポーター」制度も少しずつ広がっている。


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