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2011_10
24
(Mon)20:00

あきらめるのではない!

彼女は、まだ30代!某部位からの転移患者だ。主治医より『抗がん剤に耐性が出来た。緩和のある病院に行くように・・。後もって半年の命!出てけ。出てけ。』と、乱暴にそして、さっさと追い出すように彼女に言い放った。

この医師のことは、他の相談者からも聞き及んでおり、『助けて下さい。』と白衣にすがっても、それを振り払って診察室から出て行った。よい噂は聞かない。

しかし、最初からそうであった訳ではない。『自分の推進める治療法で、がんもどきにして根治を目指しましょうね。』と優しかった。ここに転院してよかった・・。とそう思った。

しかし、9ヶ月間の治療は奏功することなく、前述した通り、けんもほろろに追い出された。元の大学病院での不信感から、インターネットで前述の病院を見つけ、門をくぐった。

効果の現れない彼女に、主治医の態度はどんどん冷たくなり、彼女は、その医療機関に向かう車の中で、パニックのような症状をおこすほどだった。

さて、彼女との出会いは、我々作成の在宅緩和ケアまっぷ!その購入依頼の手紙に、『私は、末期患者です。まっぷを一冊購入希望。患者会にも興味があります。』と、電話番号とメールアドレスが書かれてあった。

9月30日(金)の”患者の集い”に彼女は初めて参加した。

私は、何か手立てはないか・・セカンドオピニオンを勧めた。ちょうど、国立がん研究センターに20年勤務した腫瘍内科医を紹介した。私の主治医だ。現在は、日本医科大武蔵小杉病院。

約2時間かかり、更に待つこと2時間半。しかし、彼女に要して下さった時間は、1時間半以上。医師は、2つのことを言った。

①まだ彼女が使用されていない抗がん剤はある。しかし、
  奏功率は10%くらい。 延命は5~6ヶ月。
  この薬剤は、修練されたがん専門医でないと
  他の医師では副作用が怖くて使えない薬。

②緩和治療という道。むしろ、緩和治療の方が抗がん剤を
  投与するより延命する場合がある。

★この①②を言う前に、腫瘍内科の医師は、『生活の面でどういうことをしたいという希望がありますか?』というような内容を彼女に聞いてきた。

えっと、『子供が20歳になるのを見てみたい。親孝行をしたい。孫の顔を見てみたい。他にも、シャロームさんに助けられたので、何か会のために役立つことをしたい。』 (詳細は敢えて省いてある。)

すると、『他には?』と更に尋ねた。彼女は、思いつくままに話した。医師は、『まず、それに優先順位をつけて、やれることを手掛けて下さいね。』

『いつかは動けなくなります。今、尋ねたことは、とても大切なことです。今、それらが出来るうちにその願いを叶えて下さい。私はそうしないと、今の状態のような場合の抗がん剤は、投与しないことにしています。』と言った。

彼女が一つひとつの”したいこと”を上げ連ねるうちに、同伴者の私は涙が溢れる。兎に角泣き虫なのが私の弱点。でも、聖路加の小児科医細谷医師ではないが、泣ける間は、患者会の代表をしていてもいいのかな?と思ったりする。

私が泣くものだから、『シャロームさんが泣くから私も泣けてきた。』と、二人でぐしゃぐしゃになりながら、腫瘍内科医のお話を伺った。看護師が一人ただ黙って私達を見守った。

医師は続けてこういった。『私は、人生をあきらめろ、治療をあきらめろ・・・と言っているのではないのです。抗がん剤をやらないということは、治療をあきらめることでは絶対にありません。むしろ抗がん剤をやらない方が長く生きられる人もいます。

この痛みや不具合をコントロールされることで、人間らしい生活をおくることができ、限られた時間を精いっぱい、好きなことに使うことも出来る。』

っというような内容を語られたと思う。同伴者の私は、『頭では分るが、今、こうして元気な状態で、それを受け入れるのは無理難題。しかし、現実をしっかり認識することは大切。』

そして彼女には、『今、こういう時に、がんビジネスは、心の隙間に入り込んでくる。だから、決して手を出さないでね。』とも言った。

医師は、『ほとんどのこと(代替療法の根拠のない情報)は、知っているので、何かしようと思った時には、すぐに聞きに来て下さいね。』と言った。

彼女は、診察室でも、帰路中でも、『ほっとした。安心した。癒された。希望が見えて来た。』と言った。私は、『どうしてそう思うの?』という肝心な問いかけを忘れてしまった。

何故なら、『あんな優しい先生がいるのね。初めて知った。』と言った言葉から、もしかして、自分の素直な思いを怖がらずに医師に質問出来たこと。

それが、彼女に安心感を抱かせたのかもしれない・・と、私が勝手に思い込んだことから、彼女にそれを確認することを忘れてしまったのかもしれない。

8時過ぎに家を出て、帰宅したのは5時過ぎ。一日がかりではあったが、彼女は私の同伴をとても感謝してくれた。

交通費は、彼女に出してもらい、シャロームから経費として2,000円頂いた。ランチを差し引いたらいくらも残らないが、今まではずっと持ち出しだったので、本当に今のシステムになって私の経済的負担は軽減した。

同伴は、私の時間の許す限り、要望があれば会員さんに付き添っている。私もこの同伴を通して、勉強をさせて頂いているので双方向だ。そしてそれは、また次の会員さんに還元される。

さて、明日は、国立がん研究センター中央病院での発表だ。『19時前に入って下さいね。』と今日確認の電話があった。

『発表は7分かかる』と申し上げたら、『大丈夫です。』ということでひと安心。尚、時間ギリギリまでホテルで練習の予定だ。

そうそう、何人かから問い合わせがあったが、この対象は、東京・埼玉・千葉・神奈川のお医者さんと、国がんの部長先生方の140~150名。

一般の方の聴講は出来ない。 らしい。

C.O.M.M.E.N.T

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