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(Fri)21:08

違和感続けば耳鼻科を 酒やたばこで男性に多い、のどのがんin東京新聞

違和感続けば耳鼻科を 
酒やたばこで男性に多い、のどのがん

 
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 のどにできるがんは、圧倒的に男性に多いという特徴がある。最近では、音楽家の坂本龍一さん(62)が中咽頭がん、落語家の林家木久扇さん(76)が喉頭がんの治療に専念すると報道された。酒やたばこが原因となることが多く、長期間のどに違和感が続くような場合は耳鼻咽喉科を受診したい。

  (砂本紅年)

 東京都内の男性会社員(48)は三年半前、首のはれに気づいた。会社の診療所を受診したところ、首のリンパ節のほか、口の中の扁桃(へんとう)も腫れているようだと言われた。紹介先の病院でステージ4の中咽頭がんと判明。手術で扁桃などを取った後、放射線治療をし、今では大きな後遺症はなく、従来通り働いている。がんになるまで一日二十本吸っていたたばこはやめたという。

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 「どこの病院でも、耳鼻咽喉科でのがん患者が増えています」。国立がん研究センター中央病院・頭頸部(とうけいぶ)腫瘍科長の吉本世一(せいいち)医師(50)は説明する。

 耳鼻咽喉科の「咽喉」は、「咽頭」と「喉頭」を合わせたのどを指す。のどは途中で食道と気管の二つに分かれるが、食道の上部にあるのが咽頭、気管の上部にあるのが喉頭だ。それぞれにできるがんを混同している人が多いが、性質は異なるという。

 まず、喉頭は声帯があり、気管や肺に通じる空気の通り道。このため、たばこによる炎症からがん化することが多い。喉頭がんは、声がかすれるなどの症状で分かることが多い。

 一方の咽頭は、食道から胃に通じる食べ物の通り道。場所によって上中下に分かれる。喉頭がんと違って、症状があまりなく、首のリンパが腫れるなど進行した後に見つかりやすい。下咽頭は特に酒による炎症からがん化しやすく、咽頭がんの中で最も多い。特定のウイルスが原因の上咽頭がんは日本人には少ない。

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 中咽頭は酒、たばこの両方の影響を受け、原因の半数以上を占める。がんのできる部位の多くは扁桃だ。近年は酒やたばこ以外の原因に、子宮頸(けい)がんの原因にもなるヒトパピローマウイルスがあることが分かっている。この場合は放射線治療、抗がん剤がよく効き、予後(治療後の病状の見通し)がいい。一方、酒やたばこが原因の場合は比較的予後が悪く、しっかりとした治療が必要だ。米国ではウイルス由来が六、七割に上り、今後日本でも割合が増えていくとみられる。

 喉頭がんも咽頭がんも、通常の定期健診では検査しない。のどの違和感やのみ込みの引っかかり感が一カ月以上続いて、数カ月単位で症状が悪化している場合は受診したい。

 一般的に、早期がんは放射線治療、進行がんは手術が中心だが、最近は手術や放射線治療が進歩し、患者の病状やがんの性質などによって治療法を個別に選ぶことが多い。進行がんでも治る確率は十分にある。治療の後遺症も以前に比べれば少なく、再建手術の技術も向上している。

 ただ、酒やたばこが原因の咽頭がんは、数年後に食道がん、肺がんなどになる割合が二、三割に上る。喉頭がんも肺がんになりやすく、引き続き注意が必要だ。吉本さんは「日本人はアルコール分解酵素が弱い体質の人が多く、飲酒の影響を受けやすい。たばこの副流煙も発がんのリスクになる。飲酒を控え、本人はもちろん周囲の人も禁煙することが何よりの予防だ」と話している。

 <頭頸部腫瘍科> 耳鼻咽喉科のがん専門の診療科で咽頭、喉頭、鼻腔(びくう)、口腔(こうくう)、気管、食道の上部など、鎖骨より上にできた「頭頸部がん」を扱う。脳腫瘍や目にできる肉腫などは除く。頭頸部がんは種類は多いが、すべて合わせても全身のがんの5%程度。患者が最も多いのは口腔がんで、すべてのがんの約2%。次に下咽頭がん、喉頭がんの順で多い。

 2014年7月29日
 東京新聞

C.O.M.M.E.N.T

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