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(Tue)17:46

毎日新聞(東京朝刊)に掲載された取材記事!

取材を受けていた記事が、10月23日毎日新聞に掲載された。時間が経つと自動的に記事が削除されるので、全文をブログに記録として残しておきたいと思う。読んで頂ければ幸いである。

がん社会はどこへ:第3部
心のケア/3 患者同士が「つらさ」共有

毎日新聞 2015年10月23日 東京朝刊

 「がんを告知されてから家までの長い道のり、涙があふれて仕方がありませんでした。あの時、病院の中でいったん気持ちを落ち着かせる場所があれば……」。

埼玉県杉戸町で「がん患者会シャローム」を主宰する植村めぐみさん(65)の胸の奥には、今も15年前の記憶が暗く沈んでいる。

 ●精神論は必要なし

 植村さんは2000年にがんの手術を受けた。治療の副作用も重なり、何度も「死にたい」と思い、理屈でははかれない悲しみに襲われた。06年に患者会を組織。

「ただつらさをはき出し合う場所が作りたかった。がん患者には精神論も根性論も必要ないのです」

 さらに告知の日のつらい経験から、病院内で患者をサポートする場を作ろうと思い立つ。県疾病対策課が動いてくれたこともあり、県立がんセンターで「ピアサポート制度」を実現させた。

 「ピア」は仲間を意味し、ピアサポートは仲間による仲間への支援だ。がんの体験者が研修を受け、ピアサポーターとして病院などでがん患者の悩みを聴く。

植村さんは現在、同がんセンターをはじめ数カ所でピアサポーターとして活動する。「患者が求めるものは『共感』です」。

カウンセリングや具体的なアドバイスをするのではなく、相談者の気持ちを整理することを心がける。

 植村さんは相談者から「生きる意味が分からない」と訴えられると、「私も初めは地をはうような日々でした」と伝える。「でも、あの時の苦しみがなかったら、あなたの気持ちも分からなかった。

人生にとって意味がないことはないと思います」と続ける。相談者は「じゃあ、今は分からなくてもいいのですね」と、表情が明るくなるという。

 大事なのは、自分なりの言葉で「共感」を伝えること。ただし、がん患者にかける言葉には配慮が必要だ=表。

植村さんが患者として、また患者会やピアサポートの活動を通して分かったことだ。家族や友人など、周囲にがん患者がいる人もぜひ参考にしてほしいという。

 ●同じ病気の人なら

 患者同士でなければ分かち合えないことは多い。千葉の乳がん患者会、「アイビー千葉」の代表、斎藤とし子さん(73)は「ひとりで閉じこもると、心の回復に時間がかかる。

人の力を借りて元気になることも考えて」とアドバイスする。患者会に入らなくても、病院で開かれるつどいの場なら気軽に参加できる。

 7年前に乳がんの手術をした同会の関口淳子さん(51)は「患者は、周囲に対して元気であることを装いたいもの。でも、同じ病気の人になら弱音をはける」と話す。

「家族には特別扱いされたくないし、『病人だから』とやることを制限されると落ち込んでしまう。こちらは動ける範囲で動いているので、ただ普通に見守ってほしいのです」

 ●支えるネットワーク

 妻ががん患者の場合、夫にはどのような支え方があるのか。横浜市在住のカメラマン、大沼正彦さん(55)の妻由美子さん(53)は6年前に卵巣がんが見つかった。

手術の後に抗がん剤治療を受けていたが10カ月後に再発がわかった。以来、何度か再発を繰り返しながらも抗がん剤で治療を続ける。

 「僕は病気について勉強し、妻は治療を頑張る。それぞれの役割でがんに向き合ってきました。根本にあるのは、もちろん『死なせたくない』という気持ちです」。

正彦さんはフリーランスのため時間が自由になり、家事も積極的にこなす。社会人の息子(28)と娘(24)が同居し、一時「家事は家族で分担しよう」ということになったが、由美子さんに反対された。

「私がいなくなった時を想定しているようで嫌。ダメな時は言うから、私もできることをやって家族に交ぜてほしい」

 当初は、治療法に迷うなど正彦さんのストレスも大きかったが、信頼できる主治医と出会ったことで解消された。夫婦の足並みはおおむねそろっているが、たまに感情がぶつかり合う時もある。「妻の苦しみは僕には分かり得ない。

でも、『妻ががんになった夫の気持ちはあなたには分からないでしょ』と妻に言ってしまうことも」と正彦さんは笑う。

 由美子さんにはブログで知り合った「がん友」も多く、さらに医療者や患者会と、夫婦を中心に「味方になってくれる」ネットワークができている。

卵巣がんの再発から4年半、今は「3カ月先は見えるが、半年先は見えない」状況だ。しかし、夫婦で新薬の適用を待ちつつ、希望を持ち続けている。【三輪晴美】=つづく

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C.O.M.M.E.N.T

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