本田 宏医師との電話対談Part2

『誰が日本の医療を殺すのか』本田 宏著 洋泉社・・・を、一気に読み終えた。知らないということは、大きな罪でもあるかのようにさえ私は思えた。

充分納得・理解した訳ではないから、肝心なことはまだこのブログで触れることは出来ない。ただ、小気味良くバッサ・バッサと斬り付けている下りがいくつかあったが、今日はそのひとつをご紹介したい。
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その後、自分自身でも官僚の実態を実感することとなった。医療制度について全国各地で講演を行うようになってしばらくした頃、ある中央官僚の方と話をしていた時のことだ。私が、

「日本の医療をよい方向へ導くには、現場の真実を国民の皆さんに知っていただくことが大事だと思って活動しています。」と伝えたところ、彼は真顔で言った。

「本田さん、国民や政治家に正しい判断ができると思いますか?」
私は驚き、同時に『やはり』と思い落胆した。しかし、すぐに気を取り直して言い返した。

『正しい情報がなければ、正しい判断は不可能です。正しい情報を発信しなければ、戦前と同じ轍を踏みます。そして、一番不幸になるのは国民です』と。 《原文まま》

話は、少しずれるが、友人のご主人は都内で500床ある病院の理事長をされておられる。その彼がある日、厚労省のお役人と精神障がい者のことで意見を求められることがあった時のこと、現場の実態や要望を訴えた後、お役人はこう言ったという。

『私は、一度も精神障がい者に会ったことがないのですよね。』・・・と。彼もまた愕然としたと、私に話してくれた。

織田裕二の映画ではないが、『事件は現場で起きている』のだ。官僚を敵にまわすつもりは毛頭ない。だけど、現場を知らなすぎる。国民を無能呼ばわりし、国民をあまりにもないがしろにしすぎてはいないのか・・と、憤懣やるかたない思いになった。やはり、机上の空論でしかないのはもう致し方のないことなのか・・と、あきらめムードになりかける。

ところが、本田医師は、
今となっては、医者という仕事は天から与えられた仕事だと思っている。この時代に医者になったのも何かの縁。

日本人が将来に夢を持てるような国づくりを目指して医療制度の改革を訴えていくこと、それが私が生を受けた最大の意味かもしれないと考えている。

私は医者なので、いつも死と向き合って生きている。自分自身もいつか死ぬことを覚悟して生きているが、この活動にかけて死ぬのなら本望だ。

今後も、「闘う医療界のスポークスマン」として絶対にあきらめず、頑張っていくつもりである。
《原文まま》と、巻末に結ばれている。

何と言う偉大で情熱的な医療者であろう。時に私も思う、結局私の活動だって、『蟷螂の斧』じゃないのかな?どんなに声高らかに叫んでみたところで、届くはずがないのではないか・・と、ほくそ笑みささやく声が去来する時がある。

でも、私もまた天与の使命なのかもしれない。今日もシャローム会員さんからお電話があった。『1月25日の患者会に是非参加したい。その日が診察日になったら、僕は診察日を変えてもらおうと思っています。』 私の県への意見陳述は、きっと彼も恩恵を受ける時が来るかもしれない。

弱小患者会の、更にただの一介の主婦に、全力で向き合って下さったその本田医師の御姿勢から、私は多くのことを学び、多くのことを吸収した。臆することなく前に向かって進もう。身の丈に応じて・・。

P.S.
この『誰が日本の医療を殺すのか』は、少しでも医療に関心のある方なら、吸い込まれるような本です。身近に済生会栗橋病院でおきた事例なども織り込まれたり、信じられないような医療の実態が軽妙な語り口で書かれています。是非、お勧めの書です。

  1. 2007/12/08(土) 22:22:34|
  2. 活動報告
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

現場を知らない・・・

シャローム様
いつもお世話になっています。
不精な私が、シャローム様のブログは毎日足を運ぶほど楽しみにしております。
さて、現場を知らない。
これは今現在、その壁にぶち当たっております。
実は、すでに他の病気に承認を受けているけれど卵巣がんには適応外の抗がん剤があり、せめて保険適用してもらおうと厚生労働省の該当の課に要望書を持っていきたいと連絡をしたところ、「今、忙しいので暇になった頃持ってきて」という回答でした 汗。
がん患者からしたら今日明日もわからない身で、せめて有効性・安全性が認められる薬剤に関しては国が認めた形で投与したいと願っているのにそのような回答です。
この日記に「そのとおり!」と思わず画面の前で頷いてしまいました。
さて、明日10日のピアカン後はちょっとスケジュールが楽になるので、我が会も12日頃から年末にかけてもう一度厚生労働省にコンタクトを取ってみるつもりです。
私たちの会は本当にもしかしたら小さなところでもがいているのかもしれませんが、それでも、やり続けたいと思います。
私の友人の言葉を借りると「やらない善よりやる偽善!」だそうで、偽善とは思いませんが、やることが大切なんだと思います。
  1. 2007/12/09(日) 19:56:24 |
  2. URL |
  3. スマイリー片木 #PU9Da9vY
  4. [ 編集]

Re:現場を知らない・・・

スマイリー片木様

コメントをありがとうございます。
とても嬉しいです。
それも、毎日立ち寄って頂けていたなんて驚きです。
お忙しい貴方なのに、恐縮です。

卵巣がん患者会のスマイリー片木さんとの出会いは、都庁でのピア・カウンセリングの講習会でしたね。
あなたのことは雑誌などで存じ上げていたので、私の方から声をかけさせて頂いた訳ですが、まだ32歳?くらいでしたかしら?

様々な試練の中、ドラッグラグ問題に取り組み、特に卵巣がんの抗がん剤の承認遅れを訴え続けておられますよね。

本田先生もおっしゃった官僚が、政治家が、同じような病気や境遇にならなければ、なかなか変わるものではない・・と。

問題の本質は、自分で体験して初めて分るのでしょうが、精一杯イマジネーションを働かせて、病人や障がい者や老齢者の立場にたったら・・と、もっと真剣に考えて欲しいと思いますね。

でも、がん患者会シャロームでは、フリマを通して寄付活動を行っていますが、大海の水も一滴から・・・と思っています。

声なき声を張り上げ続けることは、たったお一人で医療制度を変えようとされておられる本田先生の活動然りだと思います。

スマイリー片木さんもそうですが、声を出し続けること訴え続けることの大切さを今、痛感しています。

いろいろなからくりや落とし穴があるでしょう。でも、やらないことを善だと肯定する人もまた、やった人の恩恵をいつか受ける時が来ることでしょう。

声を上げたから、がん対策基本法制定に向けて患者の声を聞くという画期的なことがこの日本で起きた訳ですよね。声を出さなければ現状は変わらない。また、実態にそぐわないちぐはぐなものとなってしまう。

卵巣がんの抗がん剤が、世界では当たり前に使われ安全が確認されているにも関わらず、承認しない理由のひとつに費用対効果がある・・ということを以前お聞きし、憤りを隠せませんでした。

卵巣がん患者は少ないので、その為に多額のお金を投資して承認にこぎつけても、儲けが少ない・・という理由で、製薬会社も積極的になれない・・ということですよね。

命は同じ重さであるにも関わらず、製薬会社の目的は、ただお金儲けだけなのでしょうか?一方で採算が合って儲かっているなら、そうでないお薬でも人助けが出来れば、その分を回そうとしないのでしょうか?今度、製薬会社の方に聞いてみますね。

>さて、現場を知らない。
>これは今現在、その壁にぶち当たっております。

現場を知ろうとしない。同じ目線に立とうとしない・・
求めに答えるのではなく、与えるものに合わせろ的
な横暴さが見え隠れしていますね。

でも、私は、日本の将来に期待します。
あなたのような方が、本田先生のような方が、また、私の主治医のような方がおられる限り、日本の医療はそんなに廃れることはない・・と、信じたい。

あらら。またまたこんな時間。また、どこかでお会いしましょうね。何かお手伝い出来るようなことがある時には、またご連絡くださいね。
今日は、本当にコメントをありがとうございました。

  1. 2007/12/10(月) 00:04:18 |
  2. URL |
  3. シャローム #CjlWd7YA
  4. [ 編集]

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