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(Mon)22:26

トンデモ医療に引っかからないために(下):ヨミドクター 腫瘍内科医 Dr.勝俣の視点より

◆トンデモ医療に引っかからないために(下)
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20160822-OYTET50024/

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2016年8月22日

トンデモ医療に引っかからないために(下)


前回は、インターネットのがん情報は信頼できないこと、また、一般書店に置いてある書籍なども、信頼できるものが少ないこと、についてお話しいたしました。

 正しい情報が不足している状況で、医師が行うトンデモ医療が横行している現在です。

 では、患者さんは、トンデモ医療に引っかからないようにするために、どうすればよいでしょうか?

患者さんがまずすべきこと

 最もお勧めするのは、現在かかっている病院で、医療者に相談することです。主治医がゆっくりと相談にのってくれれば、それに越したことはないのですが、一般的に、がん治療に関わっている医師は、相当多忙なのが現状です。

 その場合、看護師や、薬剤師、ソーシャルワーカーなどに相談してみることをお勧めします。

 また、がんの専門的な診療ができる病院として国が指定している「がん診療連携拠点病院」(1)には、「がん相談支援センター」の設置が義務付けられています。現在かかっている病院が、がん診療連携拠点病院でない患者さんも相談できますので、お近くの拠点病院を探してみてもよいでしょう。

正しい情報はどこに?

 一般の人が得られる情報で、正しい情報はどこにあるでしょうか?

 図1は、医学情報の信頼度(エビデンスレベル)をランク付けしたものです。

 これによりますと、最も高いランクに位置づけられる情報源は、優れた医学論文となります。実際、医学論文にも、ピンからキリまであり、ランダム(無作為)化比較臨床試験の結果が掲載されているものは最も信頼度が高いです。

 ランダム化比較臨床試験とは、新しい治療を受ける人と受けない人を無作為に分けて、治療結果を比較する試験のこと。たとえば、ビタミンCを飲む人と飲まない人を、年齢や性別、合併症の有無などを問わずに無作為に分けて、効果を調べる方法などがこれに当たります。

 このランダム化比較臨床試験にも実はランクがあり、対象者が少人数の研究だと信頼性は低下します。がんの臨床試験であれば、数百人規模の患者数を対象としたものであれば、信頼度はまずまずと言えます。

 ただこうした優れた医学研究の結果を一般の方が目にすることは非常に難しいのが現状です。

 メディアが、優れた医学研究の結果を正しく報道してくれればよいのですが、残念ながら、日本のメディアでは、正しい医学情報が適切に報道されているとは言えない状況と思います。

 「ランダム化比較臨床試験の結果……」などというメディア報道はほとんど聞いたことがありません。

 メディアのがん報道というと、信頼度が低い少人数での臨床研究の結果や、基礎実験(動物実験を含む)レベルの結果が多いのが特徴です。

 メディアでは、どちらかというと、正しく情報を伝えるということよりも、センセーショナリズムが優先されてしまうので、しょうがないのかもしれません。

権威者の意見も要注意!

 気を付けなければならないのは、権威者やその道の専門家の意見です。

 メディア報道では必ずと言ってよいほど、「○○大学教授の○○医師によると・・・」、などとのコメントが寄せられます。

 情報の信頼度から言いますと、「人が言ったこと」というのは、最もエビデンスレベルが低い情報となります。

 権威者の意見は、わかりやすさといった点では、聞こえがよいのですが、個人の意見というのは、さまざまなバイアス(偏り)がかかります。

 個人的な思いこみや、経験に基づいたバイアスなどにより個人の意見は変わってきます。

 たとえ、その道の専門家であったとしても、そのバイアスはぬぐいきれません。

 その道の専門家であればあるほど、結果を誇張してしまったりするかもしれません。また、自分の研究のライバルの結果であったとすれば、結果について、過小評価したりするかもしれません。

 かくいう私の意見も、このコラムの主張も、個人の意見、人間の意見ということになりますので、さまざまなバイアスがあり、信用できないということになります(笑)。

 このコラムを読んでくださっているかたは、大丈夫と思いますが、人の言ったことには、バイアスがかかるので、決して私の意見も絶対視しないでいただきたい、ということなのです。

「診療ガイドライン」の勧め

 では、一般の方、患者さんが手に取ることができて信頼できる情報は何を見ればよいかというと、「診療ガイドライン」を紹介したいと思います。

 診療ガイドラインとは、ランダム化比較臨床試験など、エビデンスレベルの高い医学情報に基づいて病気の予防・診断・治療などの根拠や手順について最新の情報を分かりやすくまとめた指針です。

 標準的な治療法、すなわち、最善の治療を紹介しているガイドラインと言えます。

 厚生労働省の委託事業として、日本医療機能評価機構が運営する「Minds(マインズ)ガイドラインセンター」のWebサイト(2)では、一般の人向けの解説も掲載しているので参照してほしいです。

図1

図1

 診療ガイドラインに基づいた標準治療を記載しているサイトとしては、

  • 国立がん研究センターがん対策情報センター(3)
  • 米国の国立がん研究所(NCI)が作成しているPDQ®日本語版 がん情報要約(4)

などがありますので、それぞれ参照してください。

手っ取り早くトンデモ医療を見抜きたい人のために

 正しい情報を得るためには、どうすればよいかということを解説してきました。

 もっと手っ取り早くインチキなトンデモ医療を見抜きたい人のために、以下の表をつくりました。

トンデモ医療を見分けるための5つのポイント

  1. 保険が利かない高額医療
  2. 体験談が載せられている
  3. ○○免疫クリニック、最新○○免疫療法
  4. 先進医療に指定されていない
  5. 奇跡の○○治療、末期がんからの生還

 このうち、2つ以上当てはまるとトンデモ医療であることは確実!!

 1つだけ当てはまっても要注意ですが、2つ以上当てはまればインチキは確実。

 惑わされやすいのが、がん患者による体験談です。

 図にも示しましたが、個人の意見や、体験談は、医学情報としては、最も信頼度が低いものとなります。

 個人のデータというのはわかりやすいので、つい信じてしまいがちになりますが、信頼性といった点では、乏しい情報です。

 個人の体験談、経験談だけでは、本当にその治療法が良かったかどうなのかはわかりません。

  • 別の患者でも同じ治療法で同じ効果が得られる「再現性」はあるのか?
  • その治療をしなかった場合はどうなのか?
  • ほかの治療と比べるとどうなのか?
  • ほかの治療と併用していたのではないか?
  • ○○という治療が効いたという客観的な証拠はあるのか? きちんと学会や医学論文として報告されているのか?

などなど、突っ込みどころは満載です。

 自由診療で保険外治療をしているクリニックでは、必ずと言ってよいほど、「〇〇治療でがんが消えた」など、個人の治療効果を紹介しています。

 このようなクリニックのサイトの体験談などは、真実かどうか疑わしいものも少なくありません。

 学会などに発表されたデータでもなく、よくよく読むと、ほかの治療と併用していたりして、その保険外の治療の効果とはとても言えないような結果であったり、 (うそ) や誇張が含まれていると考えた方がよいものがほとんどです。

 この表のなかに、「先進医療に指定されていない」とあります。

 「先進医療(5)」とは、将来に期待がされている治療で、まだ保険適用されていませんが、厚生労働省が指定して、混合診療(患者さんの自己負担となる保険外診療と保険医療の併用をすること)を例外的に認めている医療です。

 先進医療も、研究段階の医療であり、有効性は確立されていない治療なのですが、先進医療にも指定されていないのに、怪しいクリニックでは、「先進医療」「最先端医療」などと宣伝しているところもあるので、なお注意が必要と思います。

トンデモ医療をなくすために

 情報化が進んだ現代で、トンデモ医療が横行してしまっている現状はとても嘆かわしい状況と思います。

 こうしたトンデモ医療は、一部では、がん患者さんを利用したビジネスと化しているものもあります。

 がん患者さんは、「 (わら) にもすがる気持ちで」、医師が言ったこと、医師がやっていることだから、とつい信じてしまいがちです。

 患者さんの弱みにつけこんで、ビジネスにしようとするトンデモ医療は許されるべきではないと思っています。

 こうしたトンデモ医療に惑わされない、だまされないようにするために、皆で声をあげていく必要もあると思っています。

 また、トンデモ医療に騙されない患者の知恵をぜひつけていってほしいと思います。

参考

  1. 国立がん研究センターがん情報サービス がん診療連携拠点病院などを探す
    http://hospdb.ganjoho.jp/kyotendb.nsf/xpKyotenSearchTop.xsp
  2. Minds(マインズ)ガイドラインセンター
    https://minds.jcqhc.or.jp/n/medical_user_main.php
  3. 国立がん研究センターがん対策情報センター がん情報サービスレファレンスリスト
    http://ganjoho.jp/public/dia_tre/index.html
  4. NCI PDQ®日本語版 がん情報要約
    http://cancerinfo.tri-kobe.org/pdq/summary/index.html
  5. 厚生労働省 先進医療の概要について
    http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/sensiniryo/

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