昨日の続きです。
次にご紹介するコメントは、がん情報ネットワーク誌2008年6月号に掲載されたものである。そのまま記載することをご本人から了解を得られたので、UPさせて頂いた。一緒に考えて見て下さい。
今日は、杉戸町内にある東埼玉総合病院に、私を含めた会員3人で訪問した。今日初めて同行して下さった会員さんお二人は、東埼玉病院の患者であり、がん患者会シャロームの会員さんでもある。
予め会の活動内容などをお送りしておいたが、『杉戸町にこんな活発な活動をされている患者会があったなんて知りませんでした。』と、率直に語って下さった。
副院長先生も管理部部長さんも、大変好意的に私の話に相槌を打ちながら耳を傾けて下さった。我々を受け入れて下さっていることが、お二人の表情から伺い知ることが出来、そのことが私達をリラックスした気分にさせてくれた。
途中、同伴した会員さんにも、会に入った感想などを簡単に語って頂いた。最初は、『ただ、何も言わないでいいよね。何の心の準備も出来てないからね。』と、言われていたが、例によってお二人に振って発言を求めた。
打ち合わせなどしていなかったけれど、素直なお気持ちを話して下さった。がん患者会シャロームには、この東埼玉病院の患者さんが6人いらっしゃる。どなたも、入会を喜んで下さっている。
医療でカバー出来ない精神面のフォローなど仲間による働きについては、もう、充分ご理解頂いたと思っている。『院内でご検討下さって是非、がん患者会シャロームのリーフレットを病院内に置いて頂くようお願いします。』と依頼したが、感触としてはきっとそのようにして下さると確信している。
病院側のお二人とも、東埼玉病院の現状(新患の外来予約がいっぱいで取りにくいなど)を憂いておられた。医師不足は否めないし、正直、手詰まり状態であると嘆いておられた。
この中核病院東埼玉総合病院は、急性期病院として夜間においても緊急や重症な患者を受け入れる医療体制を取って下さっている。このように地域に根付いた病院があるお陰で我々は安心した生活を送ることが出来る。
それでも、がん罹患など精神面で大きなダメージを受けやすい病などについては、ゆっくり話を聴いたり、気持ちを受け止めるような時間的余裕はない。
そういった点から、『がん患者会シャロームのような患者会があることは、患者にとっても大変救われることだと思う。今後も情報交換などを重ね、協働でがん患者さんのサポートにあたっていきましょう。』と、互いに申し合わせをした。
お忙しく猫の手も借りたいほどの執務の中、こうして私達患者会のために、貴重なお時間を割いて頂いたことを心からありがたく感謝している。
病院の更なる発展を心から祈念したことは言うまでもない。
病院を後にしたあと、私達は近くのファミレス:すかいらーくでお茶を飲んでミニオフ会を開いた。いつまでも話が尽きない。一人の会員さんは、奥さんに『患者会なんかに参加して何するの?』と、言われたという。彼は即座に、『お前には分らないんだよ。』と、言ったという。
確かに、健康な人にとっては、患者会なんて何の意味も持たないと思われても仕方のない集団なのかもしれない。しかし、これが思いのほか大きな威力を発揮するのは、患者でなければ分らない体験なのだろうと思った。
今日は、シャローム会員さん宅にひょんなことからお邪魔をしておしゃべりをした。そこで彼女はこういった。『以前、シャロームさんは、がんでご主人を亡くされて頑張っている方に偉いねっていったことを反省されていたことなんだけど・・。』と、切り出された。
このことは、その方が『誰だって同じような立場になれば、当たり前に生きていかなければならないことなんだから、そういうことは言われたくない。』と言って下さったことを受けて話した言葉だ。そして私は、がんになり今、その方の気持ちが分る・・という内容であった。
結論は、『人によるから・・』という気持ちも分らぬではないが、言ってしまってからでは遅い(傷つけてしまう)と私は力説した。こういう私の体験の中から、やはりみなが学習をすればよいのだと私は思っている。
私の不用意な言葉で、そのお相手の方が、折角はっきり口に出して下さったのだから、それを真摯を受け止めましょう・・と私はこのブログでも声を大にしたい。
私は今日、ある方のブログに“がん”ではなく“ガン”と書かれている文字を見てある種抵抗を覚えたと、その管理者に伝えた。
例えば国立がんセンターも“ガンセンター”ではなく、“がんセンター”である。これは、文字から受けるがん患者のイメージを優しく配慮した・・・と、以前どこかで聞いたことがある。
私も“ガン”という文字を見ると、何か冷たく尖った感じに映りあまりいい印象を受けない。勿論何も思わない人もいるだろう。
しかし、誰かがそう感じたなら例えそれが少数派でも配慮するのが患者サイドに立った寄り添い方なのではないのか・・と思うのである。
今日、ある製薬会社の方から埼玉医科大学国際医療センター 精神腫瘍科教授 医学博士 大西 秀樹先生の講義の模様を下記webで聴講することが出来る・・というメールを頂いた。
サイコオンコロジー学会のWEB:e-learning用のVTR!
レクチャー7:「家族・遺族への対応」
http://www.jpos-society.org/elearning/
その講義の中に、高齢者(80過ぎとか90歳とか・・)を失ったご遺族に『大往生ですね。』という言葉は、使うべきでない・・とお話をされている。
はたから見ると一見『大往生』に見えるかもしれない。社会的にみたらそうかもしれない。しかし、その言葉は、ご遺族が初めて認識して使う言葉である。外の人が使う言葉ではない・・と語っておられる。
外の人が安易に使ってはいけない。『遺族は、大往生ね。と言われて辛い思いをしている』、医療者を対象にした講義で『我々が遺族に対して使う言葉ではない。』と、諭されておられた。
もう一度まとめると、確かに大往生ね・・と言われても何も感じない人もいるかもしれない。しかし、辛い思いをした遺族がいる・・という大西医師の臨床現場での事例を、しっかり受け止めて欲しいと私は思う。
不用意な言葉で辛い思いをさせたり、更に悲しみの淵に投げ入れるような結果になるかもしれない。今日は、みんな(このブログの閲覧者)でそのことを学習したいと思った。
もっとも、軽佻浮薄な私が一番気をつけなければならないことではあるが・・・。
埼玉医科大学 精神腫瘍科 大西 秀樹教授(医師)のお話は、吸い込まれるように耳を傾けた。患者に寄り添う家族の実例を上げながらのお話は、大変勉強になった。
私達は、自分のがんを抱えることだけで精一杯。周りの家族の辛さまで思いを馳せることは難しい。しかし、このような講演という機会に、第三者の客観的なお話を伺うことは、がん患者にとっても実はとても大切なことだと思わされた。
苦しいのは本人。最も辛いのは患者本人!私はそう思っていた。でもそうでない場合もある。大西医師の講話の中で、家族は『第二の患者』と言われることを知った。
介護の負荷。治療決定参加。心理的負荷。経済的負荷・・・。看病中から様々なストレスを受けているという。不安と抑うつ状態の適応障害になっている家族は少なくない。
寄り添う家族の20〜40%は、抑うつがみられ、それは、患者と同等かそれ以上だとのこと。これは私にとっては、衝撃的であり、むしろ、受け入れがたい言葉であった。
『死と隣り合わせに生きているのは、誰でもない私なのよ・・』という当事者と被害者意識のような物を併せ持ち、苦しいのは私!と絶対的な悲劇の中にいる自分がずっといた。
しかし、その家族の中にも死を意識することがあり、家族に対して精神医学的な介入が必要である・・ということこともあるとのこと。
実は、シャローム会員さんの中には、介護をしている家族会員の方がお二人、家族会員&患者本人の方がお一人おられる。
その中のお一人は、まさに今、抑うつ状態にあるようである。また別の方は、このまま患者の病態が悪化すればその予備軍となるかもしれない方がまたお一人おられる。
一人は、安定剤を服用されており、ひとりは、患者に一日休む暇なく付き添っておられる。家族が倒れるのではないかと心配するほどである。
命を張って介護をするので患者より先に亡くなってしまうこともある・・という。大きなストレスを抱えている家族を看護ケアに組み込む必要があると力説された。
また欝の特徴として、
1.抑うつ気分
2.興味・喜びの欠如
3.睡眠障害
4.食欲不振
5.焦燥感
6.倦怠感
7.自責感
8.思考・集中力の低下
9.希死念慮
こういった症状を呈した場合は、きちんとカウンセリングや薬剤などの処方で改善されるという。やはり、餅は餅屋で、こういった精神腫瘍科の医師がきちんと対応する必要があること。
そして、家族がよりよいケアを受けることで、また周りをも幸せにする・・。とおっしゃった。
絶対に言ってはいけないことは、励ますことと、『頑張って』という言葉であると断言した。また、何を言っていいか分からない時は、何も話さなくてよい。患者は孤独であるので、傍らにいるだけでそれだけで充分であると、付け加えられた。
穏やかで、謙虚で、優しさに満ちたその大西教授の講話は、私の心にびんびんと響き、メッセージが私の心に染み渡るようだった。
私は、講演会終了後すぐに大西教授に歩み寄り、名刺交換をさせて頂いた。そして帰宅後先生にメールを送った。是非、がん患者会シャロームの賛助会員になって下さいとお願いした。
先生からの嬉しい返信には、微力だが、お役に立てば幸いであることと、時間がある時に一度センターに来て下さい。待っています。そしてどうぞよろしく・・と書かれてあった。
先生の日程に合わせて是非、シャローム会員さんと一緒にお邪魔したいと思っている。また新しい素晴らしい出会いが与えられた。
今回は、内容もさることながら、その講師のお人柄に触れることが出来た実りある講演会であった。お付き合いという動機不純な参加ではあったが、シャロームの将来と希望が与えられたよう夢のようなひと時だった。
昨年春に開設された埼玉医科大学国際医療センターにお伺い出来る日を、首を長くして待ちわびたいと思っている。その節にはまたご報告をさせて下さいね。
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